航空専門学校で初めて知った「飛行機の常識」3選|飛行機はバックできる?コックピットに入るブレーキマンとは

航空

飛行機が好きで航空専門学校に入ると、今まで「当たり前」だと思っていたことが意外と違っていたことに気づきます。

僕自身、飛行機を見るのが好きで航空について学び始めましたが、授業や実習を通して「それ、もっと早く知りたかった!」と思うことが何度もありました。

例えば、飛行機は本当にバックできないのか。パイロット以外でコックピットに入る人は誰なのか。なぜ同じ空港なのに、日によって離陸する方向が違うのか。

今回は、実際に航空専門学校で学んだ中でも特に印象に残っている「飛行機の意外な常識」を3つ紹介します。

1. 飛行機は実はバックできる?

① リバーススラストを使えば後ろへ進むことはできる

飛行機は基本的に自分でバックできないと思われています。

僕自身も、航空について学ぶまでは完全にそう思っていました。

しかし、厳密に言えば飛行機は絶対にバックできないわけではありません。

ジェット機には、着陸後に減速するためのリバーススラストという仕組みがあります。

これはエンジンの推力の向きを変えることで、機体を減速させる仕組みです。

理論上、このリバーススラストを利用することで機体を後方へ動かすことも可能です。

つまり、「飛行機はバックできない」というよりも、「通常はバックしない」という方が正確なのかもしれません。

② それでも自力でバックしない理由

では、後ろへ動けるならなぜ飛行機は自分でバックしないのでしょうか。

大きな理由のひとつが、ジェットエンジンを使って後方へ移動することによるリスクです。

例えば、強い排気によって周囲の車両や設備に影響を与える可能性があります。

さらに、地面にある異物をエンジンが吸い込んでしまうFOD(Foreign Object Damage)のリスクも考えなければなりません。

空港のランプエリアには、さまざまな車両や設備、人が存在しています。

そんな場所で大きなエンジンの推力を使ってバックするのは、安全面でも扱いやすい方法とは言えません。

「できるけど、あえてやらない」というのが面白いところです。

③ だからプッシュバックという作業がある

そこで使われるのが、以前9aeroでも紹介したプッシュバックです。

トーイングトラクターなどの専用車両を機体に接続し、安全な位置までゆっくりと押し出します。

飛行機ほど大きな乗り物になると、「自分の力で動けるか」だけではなく、周囲にどれだけ安全に影響を与えず動けるかも重要になります。

航空専門学校で学んで印象的だったのは、飛行機の仕組みには「できる・できない」だけではなく、その先に安全性や運用効率まで考えられていることでした。

飛行機が自分でバックしないのも、単純に技術的な問題ではなく、安全な空港運用のための選択なのです。

2. パイロット以外でコックピットに入る「ブレーキマン」という仕事

① 初めて知ったときに一番驚いた仕事

航空専門学校で学んだ中でも、個人的にかなり印象に残っているのがブレーキマンという仕事です。

飛行機のコックピットに入れる人と聞くと、多くの人はパイロットや整備士を想像すると思います。

僕もそうでした。

しかし、航空機を地上で移動させるトーイングという作業では、緊急時に備えてコックピットにブレーキマンが乗り込むことがあります。

「パイロットでも整備士でもない人がコックピットに入る仕事がある」という事実は、初めて知ったときかなり驚きました。

② ブレーキマンは何をしている?

ブレーキマンの主な役割は、トーイング中の緊急時にフットブレーキを作動させることです。

航空機のトーイングは、エンジンを使って自力で移動するのではなく、外部の車両によって機体を牽引します。

そのため、通常とは異なる形で航空機を動かすことになります。

万が一、トーイング車両との接続に問題が発生した場合などには、機体を安全に停止させる必要があります。

そこで、緊急要員としてコックピットに乗り込み、必要に応じてブレーキ操作を行うのがブレーキマンです。

普段乗客として飛行機に乗っていると、コックピットの中でどんな仕事が行われているのかを意識することはほとんどありません。

しかし、飛行機を地上で安全に動かすためには、普段は見えないところにも専門的な役割を持った人がいるのです。

③ 飛行機は「空を飛ぶ前」からチームで動いている

飛行機というと、どうしてもパイロットの操縦技術に注目しがちです。

もちろん、空を飛ぶためにはパイロットの存在が欠かせません。

しかし、飛行機は空に上がる前から、多くの人によって動かされています。

トーイングを行うスタッフ、翼端を監視するスタッフ、コックピットで緊急時に備えるブレーキマン。

さらに整備士、グランドスタッフ、給油スタッフ、管制官など、数え始めればきりがありません。

航空専門学校に入ってから、飛行機を見るときに「誰が操縦しているのか」だけではなく、「この飛行機を動かすために今どんな人が関わっているんだろう」と考えるようになりました。

3. 滑走路は毎日同じ方向を使っているわけではない

① 飛行機は基本的に風に向かって離着陸する

航空専門学校に入る前は、空港の滑走路について「飛行機は決められた方向から飛んでいくもの」というイメージでした。

しかし実際には、その日の風向きによって使用する滑走路や離着陸の方向が変わります。

飛行機は基本的に向かい風を利用して離着陸します。

これは、翼に必要な揚力を得やすくするためです。

同じ空港でも、昨日は南方向へ離陸していた飛行機が、今日は北方向へ離陸していることがあります。

航空を学ぶ前は気にもしていなかったことですが、一度仕組みを知ると空港へ行ったときの見方がかなり変わりました。

② FlightRadar24を見ると空港の運用が予想できる

最近は、空港へ行く前にFlightRadar24を見ることも多くなりました。

実際に飛行中の航空機を見るだけでも面白いですが、飛行機の進行方向を見ていると、今どの方向で離着陸が行われているのかもなんとなく分かってきます。

例えば、空港周辺で航空機が同じ方向へ並んでアプローチしていれば、その方向から着陸している可能性があります。

反対に、離陸直後の航空機がどちらへ飛んでいくかを見ることで、使用している滑走路の方向を予想することもできます。

単純に「飛行機が飛んでいる」と見るだけではなく、「今日はどの滑走路運用なんだろう?」と考えながら見ると、FlightRadar24がさらに面白くなります。

③ 季節や気温から風向きを予想するのも面白い

実際に空港で飛行機を見ているときは、飛んでいく方向から使用している滑走路を考えることもあります。

さらに個人的には、季節や体感温度から「今日は北風運用かな?それとも南風運用かな?」と予想してみることもあります。

もちろん、実際の空港運用は単純に気温だけで決まるわけではありません。

その時の風向きや風速、空港周辺の航空交通量など、さまざまな条件が関係しています。

ただ、航空について学んでからは、空港へ行く前から「今日はどんな運用になっているんだろう」と考えるようになりました。

そして予想通りの滑走路から飛行機が離陸すると、ただ飛行機を見るだけだった頃とは少し違った楽しさがあります。

航空を学ぶと、飛行機の見え方が変わる

航空専門学校に入る前から飛行機は好きでした。

空港へ行けば飛行機を見て、離陸する姿を眺めるだけでも十分楽しかったと思います。

しかし、航空について学んでからは、飛行機を見る視点が大きく変わりました。

「なぜ今この飛行機はプッシュバックしているのか」「トーイング中は誰がコックピットにいるのか」「今日はどの方向から離陸するのか」。

以前なら気にしなかったことが、自然と気になるようになりました。

航空の面白さは、飛行機そのものだけではありません。

空港で働く人、飛行機を動かす仕組み、そして安全な運航を支える細かなルールまで知ることで、いつもの空港の景色がまったく違って見えてきます。

個人的には、これが航空専門学校に入って一番大きく変わったことかもしれません。

次に空港へ行くときは、飛行機だけではなく、その周囲で何が起きているのかにも少し注目してみてください。

今まで見えていなかった空港の景色が、少しだけ見えてくるかもしれません。

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